【メンタルヘルス不調からの職場復帰支援のコツ③】職場要因:受け入れ側の対応

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【メンタルヘルス不調からの職場復帰支援のコツ③】職場要因:受け入れ側の対応

④「休んだ分を取り戻させる」という周囲の認識、⑤「面倒な奴が返ってきた」という周囲の認識

「休んだ分を取り戻させる」という周囲の認識、「面倒な奴が返ってきた」という周囲の認識

前回までは、上司や産業保健スタッフ側の課題を記載してきました。今回は、周りの従業員からの視点です。

みなさんは、「うつ病をはじめとしたメンタルヘルス疾患で数か月間休職し、その後復帰された経験」をお持ちでしょうか。多くの方は「No」ですよね。

「健康な立場の方が、健康でない状態の方の苦しみを理解すること」は、実はとても難しいことだと思っています。心理職であっても、「相手の苦しみを、完全に相手の立場で理解すること」は不可能なのかもしれません。

毎日の業務におわれ、皆がいっぱいいっぱいで仕事をしている中、貴重な戦力が1人でも抜ければ、周囲にかかる負担は大きくなることは想像されます。

「自分もほんとは苦しいのに」「私だって休みたい」こんな思いが出るのは、ある意味当然です。なんとか皆で乗り切って、当該従業員が復帰してくる際には、

  • 「すでに補充要員が入っています。いまさら…」
  • 「復職2回目だよね。戻ってきても、またすぐに不調になるんじゃないの…」
  • 「どうしてあの人だけ特別扱い(時間制限あり)なのですか…」
  • 「迷惑かけられた分、2倍の仕事してもらおう」

もしかしたらこのような声が聞こえてくることもあるかもしれませんね。

このような場合、私たちはどのようにこの状況を理解すればよいのでしょうか。

疾病の特性の視点から

  • 「昔ながらのうつ病」:自分を責めて苦しめて、どのような場面でも身体症状が出現し、常にエネルギーが枯渇してうつうつとしてしまう
  • 「現代型のうつ病」:ストレスフルな状況でのみ、各種身体症状や精神症状が強く現れる

「現代型のうつ病」は、ストレスフルな状況でなければ、いつも通りに活動が可能です。

そのため、周囲からは「本当にうつ病なのか」「さぼりではないか」「昔はあんなの許されなかったぞ」といった声が出てくるかもしれません。

ただ、このような状況であっても、症状ベースで見た時には本人は苦しんでいます。

当然、専門医にかかれば、療養や服薬治療の必要性が判断されることもあります。加えて、長期の療養に入るということは、医学的な根拠からその必要性があるからです。

まずは、本人が抱えている「病気」「苦しみ」「症状」について理解してあげる姿勢を持つことはどうでしょうか。私たちは困ったとき弱ったときには、誰かほかの人に助けてもらうしか無いと思います。自分がこのような状況になれば、当然助けてもらうこともあると思うのです。

元気なときには、誰かを助けてあげればよい、いつかそれが自分にもめぐってくる。こんな風に思えれば少し気持ちが楽にならないでしょうか。

いきいき職場づくりの視点から

現在のメンタルヘルス対策は、個別にメンタルヘルス不調者の方を支援するという狭い意味だけでなく、広い意味で「いきいき職場づくり」を目指す活動と捉えられています。

職場で働く一人一人のモチベーションを高め、積極的に仕事に取組み、自らも楽しめるような状況を作り出すことで、組織としての力を強めていこうという考え方です。

メンタル不調者が出た、ということは本人の要因だけでなく、職場にもその要因の一端があるかもしれません。それが残り続ける限り、2人目3人目、もしかしたら皆さん自身も、不調をきたすことにもなりかねません。

だとすれば、この機会に皆が働きやすくなる職場づくりに向けて、真剣に検討してみるのもひとつではないでしょうか。復帰してきた方が働きやすい職場は、ほかの皆さん誰もが働きやすい職場のはずです。「復帰後の仲間への対応は、自分たちのいきいき職場づくりの第一歩である」という考えは、迎え入れる皆さんの気持ちを楽にしてくれるものではないでしょうか。

復帰してくる従業員に対して、どのように対応するかを事前に周知したり、教育したりするのは労力のかかることです。社内に産業保健スタッフがいるようであれば、彼らに任せることが出来ると思います。

ただし、病像や経過などは、あくまで本人の開示同意があって共有できる情報ですので、その点はご注意ください。

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