【メンタルヘルス不調からの職場復帰支援のコツ②】職場要因:復帰後の負荷とフォロー

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【メンタルヘルス不調からの職場復帰支援のコツ②】職場要因:復帰後の負荷とフォロー

②復帰直後に、業務の質的・量的負担を元に戻す

復帰直後に、業務の質的・量的負担を元に戻す

復職には組織としての「復職プログラム」と、現場での復職スケジュールを規定する「復職プラン」が大切となります。

これらの仕組みがなければ、復帰してくる従業員は正に上司のさじ加減ですべての環境が規定されてしまいます。また、いくら上記の仕組みを構築しても、相手は人間です、いや、場合によっては治りきっていない症状や、元来有している手ごわい性格傾向です。

状況によって、さまざまなケースが考えられます。

人事労務担当者が全く関与せず、上司のみに対応が任されすぐに勤務時間を上げてしまうケース

中小企業ではありがちなケースかもしれません。本人から復職可能の診断書が出てきて、産業医の面談も、ラインの面談も、組織としての復職の可否判定の会議もなく、「なんとなく」復職を許可してくるケースです。

このようなケースでは、復職の判断基準も明文化されていないケースが多いはずです。段階的に勤務時間や勤務の質をあげていくことを前提に診断書が出されていたとしても、上司はそのようなことはお構いありません。

ただでさえ人が足りていない状況では、「少なくとも今まで通り」「できれば休んでいた分、他の人に迷惑をかけているんだから、その分取り戻してくれ」こんな思いを優先させてしまう上司もいるのではないでしょうか。

メンタルヘルス不調で療養していた方は、多かれ少なかれ「迷惑をかけてしまった」「何とか取り戻したい」という思いを有しています。(この思いが強すぎる場合には、そもそも復職できる状況ではないと思うのですが。。)そのような状況で、上司からも上記言葉がけをもらってしまえばどうなるでしょうか。

「もっともっと頑張らねば」「頑張りたいのにまだ体が思うように動かない自分は、やっぱりできない人間だ」「結局また迷惑をかけてしまうのではないか」これらの想いが、状況をよくする方に働けばよいのですが、全く逆ですよね。

心身の状況は悪化の一方です。上司も本人も望まない「再療養」が目の前に迫ってくるのです。

会社は徐々に勤務時間を上げていきたいのに、本人から勤務時間を上げる希望がすぐに出るケース

このケースはなかなか難しいと思います。対応に絶対的な正解があるわけでなく、個別ケースに応じて検討する必要があるからです。

例えば、職場の個別的な人間関係が大きなストレス要因となっていて2次的に抑うつ感が強まり「適応障害」と判断されて休職。その後職場を変えて復職したケースなどの場合、明確なストレス要因が除去されていれば、以前のパフォーマンスに戻るまではそれほど時間がかからないケースもあります。

このようなケースでは、復職プランよりも早いペースであっても、?負荷を試験的に上げてみることは、選択肢の一つとなるでしょう。

業務時間の制限はあるが、業務の質の制限をかけていないケースで、本人から制限勤務の解除を求めてくるケース

「時間内に業務が終わらないので、制限勤務を解いてもらえないでしょうか」このような訴えが聞こえてくるケースです。

徐々に業務の質の負荷が上がって、十分に慣れてきた時期であればよいのですが、勤務再開したその週や翌週にこのようなコメントがある場合は、「業務の質」の負荷が適切か再検討する必要があります。

顧客や協力会社との折衝を伴うような業務をすぐに再開させることは、リスクがあります。時間の制限をかけづらいこともありますが、「気を遣う」すなわち「精神的なエネルギーを多く消費する」ことは、業務に慣れていく早い段階では、できる限り避けた方が再発の予防になると考えます。

療養前にリーダクラスで折衝や調整が中心であった方であっても、慣れるまで(数か月)は、直接的な折衝や調整の業務から離れて(担当者を別において)様子を見ながら戻していくことが良いと考えます。

代表的なケースを挙げましたが、どのケースにおいても、復職プランの見直しについては、本人の意見だけでなく、上司や人事の客観的な意見、また産業医や主治医からの医学的な意見、これらを総合して対応していくべきと考えます。

③復帰後のフォロー面談(上司、カウンセラー)がない

復帰後のフォロー面談(上司、カウンセラー)がない

メンタル不調で何とか復帰されても、再休職に陥ってしまう方は残念ながら多くいらっしゃいます。

うつ病自体の再発率が、5年以内ですと30~50%という数字もありますので、実は病気として再発の可能性はもともと大きいのです。加えて、復帰後の職場にてフォローがなければどうでしょうか。

長く復職休職支援を行ってきましたが、再発の防止という意味では、復帰後のフォローが最も大切なように感じています。

復職後、上司からのアプローチが全くない

前回の上司の対応と同様です。上司が「職場復帰=不調前の業務レベルが可能」と捉えてしまうケースです。

イメージしてみてください。たとえ骨折であっても1か月会社を休んで、初めて出社の日、みなさんはケガ前と同じように働けるでしょうか。

  • 集中力思考力はどうですか?
  • 長くベッドに横になっていて体力はどうですか?1か月間の職場の変化を感じませんか、ついていけますか?
  • 通勤電車だけで疲れませんか?

これが、気持ちの浮き沈みを伴う半年から1年間の休養であればどうでしょうか。やはり難しいですよね。

「職場復帰」は(各事業所で規定があると思いますが)所定労働時間の勤務が出来るような状態を基準としている事業場が多いと思います。ですから、原則的には「職場復帰=不調前の業務レベルが可能」ということもできるのですが、実際的には上記示したように、ほぼすべての復職者に対して、制限勤務がかかり、徐々に仕事に慣らしていくのが通常です。「復職プラン」ですね。

この時期、上司をはじめとした会社からの働きかけは、とても大切になります。
昔ながらのうつ病の方をイメージしていますが、復帰した当人は少なからず「周りの目」を気にしています。

「迷惑かけた」「自分のことどう思っているだろうか」「早く帰るの申し訳ないな」。

このようなときこそ、上司から、復帰直後はできれば毎日、難しければ週に1回は、声かけや簡単な面談を実施していただきたいのです。

「上司(会社)から気にかけてもらえている」「制限勤務中は、まずは慣れることに集中すればよいのだ」

このような気持ちは、本人にとってとても大きな勇気付けになると考えます。上司はこの面談では「傾聴」に徹して、アドバイスや改善方法を伝える前に、受容と共感の姿勢で気持ちを聴いていただきたいと思います。

この面談での情報は「復職プラン」を柔軟に変更していくための貴重な情報源にもなります。

①「本人を支える(これでいいんだよ)」という意味合いと②「組織としての対応を柔軟に行う(復職プランの見直し)」 ために、上司の取組はとても大きいものになります。

復職後、専門職(社内産業保健スタッフ、カウンセラーなど)からのアプローチが全くない

社内に専門職がいる場合は、上司の面談と専門職の面談について役割分担が可能と思います。

専門職には、上記①の役割について積極的に担ってもらうことが可能でしょう。
この場合、上司は客観的な②の視点での面談に注力いただくこともできるのではないでしょうか。

専門職としてフォローアップに関わる際には、体調面症状面(治療の進行具合)、集中力思考力の回復具合、体力面での回復具合、業務の質の状況(対外的な業務があるのかどうか)、制限勤務の内容、など一通りお聴きします。

「きちんと出勤が出来ていること」「今やるべきことをこなせていること」など、できていることをしっかりと見つめ、支持していきます。自分はできるのだという感覚を、少しづつでも積み重ねてもらうことは、とても意味があると考えるからです。

ただ、やはり復帰に際して困りごとや、気持ちの変動も出てきます。

このような時には、勤務に際して困っていることがないか、不安感や焦燥感などの感情面についても確認しています。ここで出た話題に関しては、具体的な対処についても話し合うようにしています。

コミュニケーション上の課題であれば、挨拶での工夫や退社時の声掛けの工夫、
また、業務量が多すぎと感じる場合の上司への伝え方など、できる限り具体的に話し合います。その上で、次の面談までに実行できる宿題(実験)を考え、可能な範囲で宿題を行ってもらい、その結果をまた話し合います。

  • 「出来ていることを確認し、支持する」
  • 「困っていることを確認し、その解決手段を一緒に考える」
  • 「解決手段を実験として職場で取り組んでみる」
  • 「実験の結果を2人で評価し、再度必要な実験を考え実行する」

このような内容を一連の流れとしてフォローアップ面談では行っています。

どれだけ周到な準備が出来ても、復職時には予期しない状況が起こりえます。であるからこそ、職場側での上司や専門職からのフォローは、再休職の予防には最も大切な手段の一つと思うのです。

リワークを行って、しっかり自分を見つめなおし、新たな取り組み方を学んできた方であっても、職場に戻った途端に、学んだことが頭から抜けてしまうような方もいます。

せっかく学んだ知識やスキルは生かしてなんぼです。一人で実践するのは難しいので、上司や専門職がサポートしてあげたいところですね。

メンタルのハジメはたらく人【メンタルヘルス不調からの職場復帰支援のコツ②】職場要因:復帰後の負荷とフォロー